医学と理系3

医師には理系的知識が必要なことはさることながら、これからは患者や同じ医療スタッフとの交流、コミュニケーションが必要となる、と書きました。医師もある意味サービス業であると言えるので、常に患者の声に耳を傾けておかなければなりません。そこである病院で行われたアンケートを例に、患者が病院及び医師に何を求めているのか、を考えてみたいと思います。
ある病院がそこにやってくる患者を対象に「患者にとってどういった病院が望ましいか」というアンケートを実施したことがありますが、アンケートに応じた患者のうちの相当数が「対話のしやすい病院がいい」と答えたそうです。対話と言っても、その基礎を成すのは医師や看護師といった医療スタッフの気持ち、及びそれを体現する技術です。つまり患者と対話する心構えと患者への関心、それにそれを上手く表現するコミュニケーション技術が、現在そして将来の医療現場における、医師にとって不可欠な資質となっていくでしょう。この場合必要なのはむしろ医学、しいてはこれまでに積み重ねた理系的知識ではなく、寧ろ文系に近い心理学的知識であったり、或いは文学的思考であったりするのかもしれません。

文系か或いは理系か、といった分類の点から医学部という学部、及びその専門を考えてみた場合、医学部は理系に属する、といった位置づけは変わる事はないでしょう。勿論将来にわたっても、医学部に理系の知識や理系的な思考方法が求められることも変わりありません。ですが先に紹介したように、医療の現場にも文系的知識、文系的思考が役に立つことは間違いないではずですし、これからはその必要性が現在よりもっと注目される可能性も充分にあると思います。そしてまた医学教育の場に、文系的思考や知識を含めた医療現場でのさまざまな実践的教材や研究結果が導入されることも考えられます。そうなれば従来の生物や化学的知識を中心とした医学部の科目以外にも幅広い授業科目が取り入れられることになるでしょう。医学は常に変化、進歩しています。それは理系、文系の枠を問わないものとなるでしょう。いずれにせよ、医学教育の場に常に新しく有用な教材、材料が取り入れられ、それらが医学教育を更に豊かにし、将来の医師育成に役立っていくことを期待しています。

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