オススメ :医師への道しるべ.com

病院のあり方3

ここまでは病院や診療所等の医療機関を市場経済の模式で管理、運営することの問題点を明らかにしてきました。医療機関を完全な市場経済、言い換えれば市場競争の中に置くことは、病院同士の過当競争を招き、それが医療を取り巻く環境の悪化、医療レベルの低下、病院の経営の悪化や医師、看護師等スタッフの待遇の悪化に加え、しいてはそれが医療事故等に繋がる可能性を指摘しました。
ですが、だからといって病院や診療所等の医療機関を、例えば国家の統治機構の一部として、国家が完全に集中的に、そして官僚的に管理を行うことがよいのでしょうか。そうすれば少なくとも先に紹介したような市場原理による過当競争は生まれず、過当競争から来る弊害も生まれることはないでしょう。ですが市場原理を全く考えずに国家が集中的に管理することは、嘗ての国鉄の例を挙げるまでもなく、適切な管理運営方法とは言えないでしょう。嘗ての国鉄は採算を考えない路線運営、サービス概念の欠如、労使関係の混乱等といった数々の問題を抱え、その結果膨大な赤字を抱えるに至りました。赤字の補填は血税によって賄われることになるのですから、最終的に赤字のツケを払ったのは言うまでもなく国民です。病院等の医療機関をこのような形にしてはいけません。病院を適正な形で運営するには、完全に市場経済に晒すのではなく、かといって国家が強度に管理することもよくありません。そうではなく、国家が適度に管理をし、その一方で一部に市場の競争原理を取り入れて活性化を促すことです。そして最終的には医療の世界を構成するそれぞれの医師や看護師等の専門スタッフの職業的、道徳的規範に従って、管理、運営、そして維持されるのが最も相応しいのではないでしょうか。
ここまで病院のあり方、運営や管理の仕方について話してきましたが、いずれにせよ最も肝心で要となるのは、医療現場の第一線で働く医師や看護師ら医療スタッフの心がけであり、言い換えれば職業的、道徳的規範です。これが乱れてしまっては、病院は社会的信用を失い、そもそも根本から成り立たなくなってしまうでしょう。それ故医師や看護師等医療の現場の第一線に立つ人には高い職業倫理意識が求められることは言うまでもありません。これから医師や看護師を目指そうとしている若い人達には、このことを是非肝に銘じていて欲しいものです。またこのことは医師や看護師ら医療という職業に携わる人達だけの問題ではありません。同時に逆に彼らの手による医療サービスを受ける立場である私達も、医療が豊かで健康な社会を維持するために欠かせない貴重な社会財産であることを意識し、その財産を守るための努力を怠ってはならないのです。医療はここで紹介したように貴重な社会財産です。これを守ることは医療というサービスを提供する側である医師等の医療スタッフにも、受ける側である患者の側にも、両方に与えられた課題と言っていいでしょう。